追悼 大江健三郎さん
大江健三郎さん死去のニュースが流れました。
古本屋で買ってあった本が本棚にあることを思い出し、読んでみました。
これが面白い。
学研の「現代日本の文学」の47巻。安部公房・大江健三郎集です。
まずは、「芽むしり仔撃ち」。冒頭から、密度の濃いイメージがうねる長い文が続きます。数十年前、中学生で読んだ時には、この文体に惑わされて内容がつかめていませんでした。今、改めて読むと、熱量を感じることができ、この文体こそが魅力だと気づかされました。
次は「飼育」。これも昔読んでいたのですが、内容はわかっていませんでした。最後に誰かがそり遊びで死ぬ場面にショックを受けた記憶はあるのですが、そこに至るまでの内容が十分につかめておらず、死んだのが誰だったのかわからなくなっていました。物語の中で、「書記」の重要性が理解できていなかったのだと思います。
残る3編は初読です。
「不意の啞」。場面設定は上の2作とつながっていますが、戦争はもう終わっています。単純なヒロイックな体制への抵抗ではなく、考えさせられる内容でした。
「後退青年研究所」。終戦からもしばらく経ち、主人公は大学生になっています。暗いテーマです。
「アトミックエイジの守護神」。私の持っていた作家のイメージとは異なる作品でした。重層的なイメージは抑えられて、ある意味読みやすい。中学時代には読みにくいと感じて受け付けることができなかった文体は、狙ったものだということがわかりました。
この本は、職場の近くの大きな古本チェーンで購入したのですが、安部公房が目的でした。安部公房のほとんどの小説は読んだのですが、「けものたちは故郷をめざす」が未読だったので、たまたま見つけたこの全集本を買ったのでした。
でも、今読み返してみると、大江健三郎の方に好みが移っていることに気付きました。この文体は中毒性があります。他の作品も読み返し始めました。
ボルダリング始めました
家の近くに2軒のボルダリングジムがあります。どちらも大体同じくらいのぎりぎり歩いて行けるくらいの距離です。
ある日、買い物の帰りに、大きな窓から見えるその内の一軒のジムを見て、ピンと来るものがあったのでした。
数か月調べた後、今年の正月休みに2軒両方で体験トレーニングをして、やはり初めに見たジムに通うことにしました。こちらは、私の住んでいる町では繁華な地区にあって、トレーニングしている姿が外から見えることもあり、派手な人たちで混んでいるのではないかと想像していたのですが、そんな心配は必要ありませんでした。もう一軒の方は、距離は同じくらいですが、普段訪れることがない地区なので、わざわざジムに通いに行くことになります。
ジムには大きく3面の壁があり、同時に3人が登れます。課題のレベルはホールドで決まっているので、初心者も上級者も同じ壁に登ることになります。時間によっては、混んでいることもあるのですが、登る順番が回ってこなくて困るようなことにはなりません。
やってみてわかったのですが、ボルダリングというのはほとんどの時間は休憩しています。普段使わない筋肉を強力に使うので、休みながらでないと、すぐに疲れて登れなくなってしまいます。
一回登ったら、しばらく休んで、壁が空いたタイミングで登り始めると、いい感じで順番が回ってきます。
登るときには、後ろで休憩している人たちに見られることになります。始める前は、落ち着いて登れないんじゃないか、後ろから見られていて楽しめるのか、と思っていましたが、心配するほどのことではありませんでした。「がんば」と声をかけられるとなかなかうれしく、上級者に足や手の位置を教えてもらって動き方がわかったりします。
始めて4ヵ月経ちましたが、2週間に1回のペースでは、あまりうまくなりません。5級のあたりでうろうろしています。でも、前回できなかったことができるようになっているので、自分の中では成長は実感できます。
ボルダリングは楽しいです。続けられそうな新しい趣味が見つかりました。